散歩好き

井の頭公園で犬とまったり。

未来のミライ

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コレド日本橋で着付けのバイト。11時予約のお客様が10時40分にいらして、そのあとの予約は15時なので、中抜けしてTOHOシネマズ日本橋で「未来のミライ」を観てきました。

とある都会の片隅にある、小さな木が生えた小さな庭のある家。そこで暮らす甘えん坊の少年・くんちゃんの元に、生まれたばかりの妹がやってくる。ママの愛情を奪われ泣いて飛び出したある日、くんちゃんは庭で「変なおっさん」に出会う。

そうか、細田監督もお父さんだから、お父さんの目線で制作したのが本当によくわかりますが、お母さんの目線はもっと女性スタッフにリサーチしたほうがよかったかもしれません。

あと、くんちゃんの声がおばさんにしか聞こえないのは私がおばさんだからなのか…?

 

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このステキな異次元の東京駅を見てください。なんと美しい…ステーションホテル近辺を除く今の東京駅が無機質で階段がちょこまかあってあまり好きではないのでもっとほかの美しい場所になればいいなあと常々思っていたので、いつかこんなそこにいるだけで楽しい駅舎になればいいなと。このシーンを見るだけでもここまで来た甲斐があるほど魅力的なシーンです。細田監督が鉄ちゃんなのを初めて知りました。

初めて知ったのはこればかりではなく、いわゆる「日常系アニメ」においての日常描写には恐ろしく綿密な設人物の設定が必要なのだということを思い知らされました。言っちゃあ悪いがパパもママもくんちゃんもぺらっぺら。上っ面だけ撫でて作ってしまった日常系アニメって悲惨ですね。人物に全然感情移入できない。唯一魅力的だったのは「ひいじいちゃん」だけかな。これはこういう人物をここに描きたいという気合を感じることができたので、ほかの登場人物とは制作側としても重みがちがうのでしょう。

仏教の教えによれば、人の命は連綿と受け継がれる命で編まれた網の一部のようなもの。過去だけでも、未来だけでも成立しない、受け継ぎ受け継がれる絆です。くんちゃんの命はひいじいちゃん、ひいばあちゃん、もっと前から続くもので、その一つ一つの命にドラマが宿っている。そのドラマの連続性でもって現在がなり立っているのだ、と未来ちゃんのアテンドで知っていく…はずなのだが、いかんせん個人の設定が薄いので、ひとりひとりに愛情を持つことができないのだ。どうでもいいところにすごい尺取っててイライラするし…

細田監督の「おおかみこどもの雨と雪」を観た時、監督の内に秘めたものが爆発して外に飛び出すような怒り、迫力、勢いを感じましたが、今回はちょっと情熱不足なんだろうか。外から押し付けられてきちんと仕事をこなさなければ感がぬぐい切れないのです。商業的に映画を作っていくというのはそういうことでもあるので、次回作ではそのあたりにきちんと折り合いをつけてほしいと思います。