散歩好き

井の頭公園で犬とまったり。

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣

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渋谷ル・シネマで「ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣」を観てきました。

19歳で英ロイヤル・バレエ団の史上最年少プリンシパルとなるも、人気のピークで電撃退団。バレエ界きっての異端児の知られざる素顔に迫ったドキュメンタリー。(HPより)

天才はすべからく努力のたまものでありますが、この人も幼少時からひたすら練習に練習を重ねた人ではあります。そして天才はやはり悩むものであるようですね。

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裕福な生まれではない彼は母の厳しい教育方針の下練習にいそしみますが、そのレッスン料を稼ぐために父と祖母は外国へ出稼ぎに出ます。ウクライナの片田舎からロイヤルバレエ団に留学するためには大金が必要なのです。ロイヤルでも頭角を現し始めた彼に届いたのは両親の離婚…

練習ばかりしていて精神を鍛えるための修練は積んでいなかった彼はポキリと折れます。お決まりのドラッグ、タトゥー、バカ騒ぎ…そしてロイヤルのプリンシパルを2年やって退団…信じられない。

若い彼は俳優にもなりたかったしオファーが殺到すると思っていたのですが、異端児の彼にはまともなオファーがなく、結局引退を決意、最後に彼が選んだ仕事は、友人の振り付けたホージアのヒット曲「Take Me To Church」のMVだった。この曲、続編を楽しみにしているパトリシア・コーンウェルの「検視官」シリーズの最新作にも出てきます。

この仕事は彼の人生を大きく変え、彼は引退を撤回しアーティストとして活躍しています。

こんなマンガみたいな人生ホントに送ってる人がいるなんてびっくりです。山岸涼子先生の「アラベスク」で、バレエの天才少女ララァが才能に恵まれているにもかかわらずポイとその座を捨て女優になるという話がありますよ。

上のチラシを読むと、彼の思い通り俳優としてのキャリアもスタートしているようですし、バレエの活動もやっているようですね。映画中、ロットバルトの扮装をして廊下を歩くシーンがありますが、それだけで「この人のロットバルトを観たい」と思わせる力が彼にはあります。できれば彼のバレエを鑑賞したいものですが、まずは彼の映画デビュー作、ケネス・ブラナー監督の「オリエント急行殺人事件」を観てから俳優としての彼を値踏みしてみましょうか。私はポワロシリーズには超うるさいですよ?うふふ。

彼は若く、人生はまだ始まったばかりなのです。両親が離婚したからといって身を持ち崩したり、反復練習が退屈だからと言ってバレエへの情熱を失ったりする青い時代は終わった。これから彼の才能はどこへ向かうのか、楽しみでもあり、恐ろしくもあります。まさに「天才の宿命を目撃せよ。」