TOHOシネマズ新宿で「ワンダーウーマン1984」を観てきました。初日に行ったのになんとも寂しい入りだった…
前作はフェミニズムを前面に打ち出したものであったけど、表現が日本人には馴染みのないものだったので大ヒットというわけにはいかなかった。
そして今作はなんと愛と嫉妬に大きくシフトチェンジ、クリスマスデートにぴったりのスイートな仕上がりになっています。
そしてその嫉妬の方ですが、ハイヒールがカギになっています。
自分に自信の持てないバーバラはダイアナの履いているヒョウ柄の美しいハイヒールに目を奪われます。ハイヒールはしばしばフェミニズムでは男性におもねる、または強制されるもののアイコンとして攻撃されることも多いのですが、そのデザインや着用した際脚を美しく見せてくれる武器としての一面も持っていると言っていいでしょう。
私はハイヒールを履くと足が痛いやら靴擦れができるやらで履く気力がありませんので(オシャレは我慢よ‼️とよく言われますね…)大事な場所に出る時はもっぱら着物➕草履ですが、これも一種の武装だと思っています。
オシャレは男性にだけ向けられるものではありません。自分を鼓舞し、気分を揚げるためのアーマーです。テニスプレイヤーの佐藤直子さんがオシャレを何もせずに試合に臨み、対戦相手が美しいとその時点で負けたメンタルになるので、オシャレは重要だと語っていましたが、今作はまさにこれ。
バーバラは「ダイアナになりたい」と祈りはたしてその通りになりますが、最終的にハイヒールそのものの外見になってしまうことが悲しすぎる。バーバラの望みは心の叫びだったのです。
冒頭のアマゾネス近代5種的な試合は見る分にはスリル満点で高所恐怖症の私は手のひらに汗びっしり状態でしたが極めて教育的オチで、バーバラの陥った状態を指すものですが少しうざったく、この辺りもこの映画を煙たく思ってしまう原因なのかもしれません。
とかくアベンジャーズと比較されがちなDCコミックスシリーズ、笑いが足りないと言われてディラネスにコメディエンヌ(これらの表現も今の時代には不適格か)を持ってきたが型通りでうまく生かされていないように見えます。足りないのは笑いではなく、主人公らの人間臭さなのですよ。DCのヒーローヒロインは神のように泰然としていて身近に感じがたいので、今作では恋に悩むダイアナを描いたのでしょうが、結局は神の決断を見せつけられただけでした。
ただ新しいなと感じたのは、ヒーローものなのに力でねじ伏せて相手を倒すのではなく、会話によって説き伏せること。おっしゃる通り、ごもっともなんですがこれもちょっとイラッとするのはたぶん私の心の狭量さのなせる技か…
あっそうそう、忘れてたけど本筋のヴィランはこっちじゃなくて、トランプ大統領チックなヒトです。この存在感の無さよ。
と色々モヤっとしましたが、この状況で大作を公開してくれたことに深く感謝です。映画配給会社の作戦失敗という説もありますが、神じゃないんだから未来は読めないよね。楽しい時間をありがとうございました。