散歩好き

井の頭公園で犬とまったり。

ラビング 愛という名前のふたり

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TOHOシネマズシャンテで「ラビング 愛という名のふたり」を観てきました。

1958年バージニア州。彼女から妊娠を告げられさっそくワシントンで結婚した二人だったが、二人は真夜中にいきなり逮捕される。男は白人、女はアフリカ系。当時異人種間の結婚はバージニア州では禁止だったのだ。

Lovingさんというウソのようなホントにいた人たちの話です。下手すると裁判映画になってしまうこの映画ですが、観てみると裁判関連は物足りないほどあっさりと片付けられていて、ほとんどは二人がどのように生活していたかを淡々と描いています。

 

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よくあるパターンとして…たとえば「エリン・ブロコビッチ」のように急に主人公が精神的&法律的に強くなって戦いまくって勝利を収める話などたくさんありますが、この二人はじれったいほど流されていきます。一番戦った場面でもケネディ国務長官に手紙を書いただけ。ドラマティックな演出も一切なしです。

彼らの考えも及ばないところでこの「案件」はどんどん独り歩きし、大ごとになってもふたりは相変わらず。なんか人任せな感じで弁護士さんも不安げな表情・・・それもそうです、この二人は法律を変えてやる[E:sign01]とか私たちは戦う[E:sign01]とか考えてはおらず、普通にダンナは仕事して、奥さんは家事と子育てするだけ。それがものすごくリアルなのです。

旦那さんはレンガ職人。朴訥、寡黙。奥さんも田舎のフツーの女性で、ひたすら故郷に帰りたがる主婦です。フツーのひとにとって裁判だけでも大きすぎる事件ですから、しかもそれが国家を揺るがす大事件と来た日にゃ「いや、私ら関係ないですから、ただフツーに暮らしたいだけなんで」というスタンスになるのはホントによくわかるし、自分がこうなったらコトの大きさもかえってイヤですね。

映画の終わり、この二人がこの先どうなったかが字幕で出ます。一気に会場が涙の渦に・・・結局人間として一番美しく愛すべきこととは何なのか、最後の一言に凝縮されているなあと思いながら必死にあふれ出す涙を拭いて映画館出たら・・・買ったばっかりのムーミンのタオルハンカチ落としてきちゃった[E:shock]

公開規模も小さくCMも流れてなかったと思うんですが、心にしみる佳作です。俳優さんもなんと歯並びを変えたり、レンガ職人に習って修業したという地味でも大変な労力を使って完成した映画なんですよ。ぜひご覧ください。