散歩好き

井の頭公園で犬とまったり。

愛を読むひと

Photo TOHOシネマズ府中で「愛を読むひと」を観てきました。

なんでこの邦題なんだろう。「朗読者」でいいと思うんだけど・・・話題になった本で、ずいぶん待って図書館で借りて読みました。懐かしい・・・けどさっぱり忘れてたなあ(;´▽`A``

1958年ドイツ。帰宅途中で気分が悪くなったマイケル(デヴィッド・クロス ミヒャエルじゃないのね)はハンナ(ケイト・ウィンスレット)に助けられ、年上のハンナと激しい恋に落ちるが、ある日突然ハンナは忽然と消えてしまう。8年後、法科の大学生になったマイケルは、ゼミで訪れた法廷で被告人となったハンナと衝撃の再開をするが、ハンナにはある重大な秘密が・・・

さすがアカデミー賞主演女優賞の迫力の演技はぜひ映画館で。そういえばこの同じ「秘密」を持っているメイドが「秘密」を守るために殺人をする、という映画を観たことがあるような・・・イギリスっぽい話だったけど、なんだっけなあ?とにかくそれほど隠し通したくなる「秘密」とは。

2 字を読めない書けない人のことを今は「非識字者」というのだそうです。まさにハンナは字が読めず、書けない。ケイトは演技のところどころでこの女性の過去がどんなものだったのか、さりげない演技をしてくれます。

虚勢をはり、ことさら気難しくし、自分の内面をを見せず、でもマイケルにほだされてつい見せてしまう悲しい過去への懺悔の気持ち・・・しかし字が読めないという事実を知られることは彼女にとって死よりも恐ろしい、自分を全否定することなのです。

字が読めないというのは、実生活で困るということだけではありません。あらゆる文章・・・絵本から始まって普通の著作物や新聞等の文章を読めず、教養を高めることができない。したがってハンナの考えはきわめて幼稚であり、それがナチでの彼女の行動の基本となってしまう。無知が罪を産んだのです。

それでは彼女は犯した罪を反省していなかったか?そこで思い出すのが、若き日に自転車旅行でハンナと行った教会での出来事・・・ほんの短いシーンでしたが、これこそが彼女の偽らざる気持ちなのでしょう。教養を高めることはできなかったけれど、彼女の心は無垢のものだった。ただ、時代に素直に生きただけ。そうして皆が素直に生きてきたけれど、彼女と他の人を有罪と無罪に分けるものとはなんだったのか?

映画を見ると再び原作を読んでみたくなる、不思議な映画です。もっともっと読んで考えたいと。