新宿シネマカリテで「テリー・ギリアムのドン・キホーテ」を観てきました。ミニシアターだけどまあまあの段差があるのでシャンテシネマじゃなくここにしたんだけど、なんと私の前に巨大な男性が座るという😱ガラガラだったので斜めって観ましたけどね。
以前「ロストインラマンチャ」を渋谷のミニシアターで観た際に私の前に巨大な男性、しかもひとりはアフロという悲劇に襲われたのに、この映画でもこれかい。テリー・ギリアムに呪われている。
ま、確実に呪われてるのはテリー・ギリアムの方ですけどね。
1998年に計画が始まったこの映画はなんと20年越しで「ドン・キホーテを殺した男」として完成しました。執念ですな。
アダム・ドライバーの役はジョニー・デップ、ジョナサン・プライスの役はジャン・ロシュフォールだった。ジョニー・デップが翻弄される様は笑っちゃ悪いけど面白かったし、ロシュフォールがすまーした顔してるのがまた面白くて(彼は椎間板ヘルニアで結局降板したので笑い事じゃないけど)、人の悲劇なのに笑いが堪えきれなくて困ったものでした。
アダム・ドライバー扮するトビーは言うまでもなくギリアム監督自身、ドン・キホーテは映画そのもので、そこに巻き込まれて最後には人生がドン・キホーテに飲み込まれてしまう様を描いたものです。
ドン・キホーテに魅入られた監督は信じられないほどのトラブルに見舞われます。主役やキャストの度重なる降板や金銭トラブル、訴訟。もう正気じゃない方が楽だと思ったこともあるでしょう。そして周囲では「なんであんなにこだわってんの❓」と不思議に思った人は少なくはないでしょう。まさにドンキホーテ、監督の前にそびえる敵は水車より巨大で強大。しかし彼の作った映画はなんとも不思議で美しく、揺さぶられるようだった。
彼は彼の中で失敗という形でドンキホーテを殺した。しかも何度も。しかしドンキホーテは彼を内部から飲み込み、同体となって美しい夢と変化してこの世に再び出現したのだった。